■2002国連子ども環境会議inカナダ・ビクトリアに参加して

   5月21日から25日まで、カナダのビクトリア大学をメイン会場に国連子ども環境会議が開かれ、日本代表の子どもたちと共に会議に参加してきた。

国連子ども環境会議の会場

 集まった子どもたちは総勢80カ国を超え、 1日ごとに「水」「地球温暖化」「社会の健康、子どもの健康」「資源保護」の4項目をメインテーマに、研究発表(プレゼンテーション)やワークショップをおこなった。
 会場の大学施設内に設けられたエコビレッジでは、ボリビア、トルコ、ジャマイカ、ケニア、スペイン、日本、マレーシア、米国、南アフリカ、スロバキア、エストニア、北アイルランド、ニュージーランド、インド、カナダなどの子どもたちの調査研究が展示され、地球各地で子どもたちがこんなに熱心に地球と自然のことを考えていることに心から感動した数日間だった。

日本代表団の子供たち 日本代表団の子どもたち  

中国やカナダ、インド、ジャマイカ、ケニアなどの子どもたちの壇上での堂々とした発表ぶりに、日本から参加した15名(小学5年生から中学1年生まで)の代表団も驚いたのではないだろうか。  
“会議”といってもテーブルについての話し合いだけではなく、大ホールを使ったコンサートや各国の旗を掲げあうフラッグセレモニー、少数に分かれて行った海や山での実地調査(フィールドワーク)などもおこなわれた。地元のコメディアンを進行役に迎えた軽快な議事運営のスタイルに、子どもたちは国際会議の楽しさを十分堪能できたことだろう。共に体験をしながら、共同で"友情色の宣言"を練り上げていく作業。  日本の子どもたちも、牛乳パックからポストカードをつくる工程を発表したほか、ソーラン節をもとにした即席の「リサイクル音頭」をホールで披露。会場から大歓声を浴びていた。
 ある国の子どもが発表していたビデオ映像の中にあった、  「The World needs you」  という言葉。  宗派も、国籍も、貧富の差も超えて、世界じゅうのすべての子どもたちのための共同宣言を出そうという姿勢。  子どもたちの投票によって選出された代表2名は、8月の終わりに開かれるヨハネスブルグの国連サミットに参加し、世界のリーダーに今回採択した宣言を提出してくるのだという。
 地球の各地で、子どもたちが自発的に沢や地下水の調査をし、公共の場所の清掃活動をおこない、未来の世代のための植樹をしていることを思うと、そんな姿をもっともっと日本の多くの世代の人たちにも知ってほしいなあと思わずにはいられなかった。

各国の子どもたち各国の子どもたち各国の子どもたち各国の子どもたち各国の子どもたち 

こうした国際会議が開かれ、そこでどんな表情で子供たちが共に語り合っていたのかということ。寝食も共にしながら、休憩時間にはビクトリア大学の構内で野生のウサギに感激しあっていた姿。元気にサッカーをしたり、肩を組みながら同じ曲を歌いあっていた表情 ―― それらが、帰国した今でも鮮明に脳裏に浮かび上がってくる。

 今回この会議に参加できた子どもたちは世界中のすべての子どもから見たら、ごくごくわずかだろう。けれども、この子供たちがそれぞれの国に帰って今回の体験を各地に伝えあうとき、このファンタスティックな“未来への苗木たち”は、やがてかけがえのないものをこの星の明日にもたらしてくれるものと信じたい。

WE CAN CHANGE THE WORLD! 

今回は環境をテーマとした会議だったけれど、そこで彼らが語り合っていたものは決して環境問題だけではなかった。この星にともに暮らす生物や動植物に対する思い。国籍や肌の色を超えて、ともに同じ方向を目指す仲間がいるという安心感。それを見守る世界の大人たちの優しくてあたたかな表情。そして、さらに今回の会議を支えてくれたたくさんのボランティアスタッフのお兄さん・お姉さんたちetc・・。

  この会議の閉会式で、ある大人がこんな言葉を語っていた。

 「・・世界には何十億人もの子どもがいる。けれども、この星に暮らす60億のすべての人々が、本当はこの星の子どもなのだ」 と。

 彼はきっと、誰もがこの星に育まれているのだということを語ろうとしたのだと思う。私も同感だ。
 人間のみならず、さらに多くの生物たちがすべてこの星やこの宇宙の恩恵とともに存在している事実。
 この会議は、来年は米国のコネチカットで、さらに2005年には愛知県で開催されることが決定しているという。  さらに多くの子どもたちが、こうした国際会議に触れて、世界にはこんな活動をしている同世代がいるのだということを実感してほしいと思う。

 私たちの生活を今日も、ずっとずっと支え続けてくれている地球。そこに暮らす多くの仲間たち。
そんな、生物種をも超えた仲間や社会のことを思う子どもたちのやさしさが、この会議の最大のエンジンだったような気がする。

各国の子どもたち各国の子どもたち各国の子どもたち各国の子どもたち各国の子どもたち

 
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